第二十四話『デート』

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 元音(もとね)はそう勢いで自分の思いを伝えると、彼に一歩近付いて再び口を開く。 「久土和(くどわ)くんがわたしの気持ちに答えられなくても、大好きな久土和くんとデートできる時間がある事が幸せなの! デートしてくださいっ」  そう言って彼に頭を下げる。懇願するように元音はお願いをしたが、久土和は間を置くこともなくすぐに答えを口にしてくれる。 「おう! 行こうぜ! 平ちゃんが辛くねえなら俺も遊びてえぞ、よし! どこ行くか!?」 「ありがとうっ! えへへ、どこでも嬉しい! 久土和くんはアウトドアの方が好き?」  元音は楽しい一心で彼に問いかける。  運動が得意な久土和は遊びに行く際もアウトドア系の遊びが好きなのかもしれない。  そう考えていると久土和は太陽のように笑いながら「おう! アウトドア好きだな!」と答えてくれるのだ。勿体ぶる事もなく頷いてくれる彼が本当に可愛らしく感じられる。 「ゲームセンターはどうかなっわたし色々遊びたいゲームあって!!」 「おっいいなーっ! ゲーセンに入り浸るか! 種類(しゅるい)駅にでっけえゲーセンあったよな、あそこはどうだ?」 「あっ種類駅の有名なゲームセンターだよねっ!? 行きたいっそこにしよう!!」 「おっしゃ! 決まりだな!」  久土和は楽しそうにお出掛け(デート)の話に時間を割いてくれ、そのまま七月の下旬に遊び(デート)の約束を交わすと一緒に下校をした。  デートのお誘いにも応じてくれる久土和の優しさを愛おしく思いながら、元音はその日が来るのを心の奥底から楽しみに過ごすのであった。
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