第二十四話『デート』

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 それから時間が約束の三十分前になったところで元音(もとね)久土和(くどわ)におはようというレインを送り『今日はよろしくねっ』と絵文字付きの文章を追加で送信していた。  到着した事はまだ彼には報告していない。急かしたくはない為、五分前くらいに連絡を入れようという考えの元だ。  そんなことを思っていると『ポキポキ』という通知音が鳴り、久土和からの返信が返ってくる。  気持ちを高揚させながら通知を開くと、そこには久土和からの微笑ましいメッセージが書かれていた。 『おっす! 今日は楽しもうな!』 (朝からレインのやり取り……付き合ってるみたいっ)  そんな事を考え一人盛り上がっていると、あっという間に時間は過ぎていき、待ち焦がれた王子様の声が元音の耳の中に入ってきたのは約束の十分前の事だった。久土和はいつもの明るい口調で元音に声をかけてきていた。 「おっす平ちゃん! 平ちゃんの方が早かったなーっ!」 (わ、わ〜〜〜っ!!!!! 十分前に到着!? 十分前っ!!?)  元音は久土和の姿を見て感激の声を心中で繰り出していた。彼の格好いい素敵な服装にはもちろんの事、いつも学校に始業時間五分前を切ったところで登校してくる彼が、約束の時間より十分も早く来てくれたことにこの上ない喜びを感じていたのだ。 「久土和くんおはよっ!!! そんなに待ってないから大丈夫だよっえへへ、今日は楽しもうね!」
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