第二十四話『デート』

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 種類駅から歩いて数分、都内で一番大きくテレビでも取り上げられた事のあるゲームセンターに到着すると、早速久土和(くどわ)元音(もとね)はシューティングゲームから始めることにしていた。  久土和と二人で半個室と呼べる空間に入り、それだけで元音はドキドキと脈が波打ち始める。  久土和は全く気にした様子も見せず元音に付属の銃を手渡し、楽しそうに小銭を機械に投入していく。 「そういやゾンビは平ちゃん平気なのか?」  今回選んだシューティングゲームはゾンビを銃で倒していくガンシューティングゲームだ。今朝彼がゾンビを倒すゲームをよくすると言っていたので元音がこれをやろうと提案していたのである。 「うん! ホラー系とはまた少し違うから大丈夫! わたし幽霊がダメなんだよねっ」  そう返すと彼は笑いながら「そうだったのか! なら安心だな!」と言ってチャリンと鳴らしながら残りのお金を機械に投入していったのだ。もしかしなくても、元音の反応次第でプレイするのを避けようとしてくれていたのだろう。  お金は入れても返金のボタンを押せばキャンセルができる仕様になっている。  久土和の配慮で元音の心臓は更に煩さに磨きをかけていた。 「早速始まるぞ! 平ちゃん銃を構えとくんだぞ」 「うんっ」  久土和に指示を出された事に胸が高鳴りながら元音は言われた通り銃を構える。早速ゾンビが画面いっぱいに現れ始め、その場面からチュートリアルで銃の操作の仕方をざっくり教わると、いきなりゾンビとの戦闘が始まっていく。 『ガガガガガガガガッ』  久土和は楽しそうに銃を放ち、その傍で元音に助言をしてくれる。久土和の器用な行動に強い魅力を感じながら元音もゲームを楽しんでいた。 「あっ負けちゃった」  久土和に教えられながらも、しかし上手く対処できない瞬間が多々あり、元音はゲームオーバーになる。  だが久土和は笑いながら「ドンマイドンマイ!」と声を発し「見ながらゆっくりしててくれ」とそう言ってくれるのである。
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