第二十四話『デート』

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 そして数分の格闘の後、久土和(くどわ)もゲームオーバーになると「楽しかったなーっ」と笑顔をこちらに向けてくれるのだ。 「シューティング系あんまりやった事ないけど緊張感あってすごく楽しいねっ」 「緊張感あるよな! けど銃撃ち始めると楽しくてよ、このゲームは俺いつもやってんだよな」 「そうなんだっ久土和くんの恒例なんだねっ! わたしもまた後でやりたいなっ」 「おっいいな! 一周したらまたやるか!」  久土和とガンシューティングの感想を言い合いながら楽しくゲームセンター内を歩き回り始める。久土和は心から楽しそうに笑っていた。ゲームセンターで遊ぶ事が本当に好きなのだろう。  そんな久土和の姿を見るのが元音(もとね)はとても幸せであり、彼との初デートをゲームセンターに決めた事が百点満点の選出だったと、そう思えていた。 「クレーンゲームしてもいい?」  エアーホッケー、太鼓のゲーム、ゴーカートと様々なゲームを久土和と楽しんだ後、元音はふとクレーンゲームに目を向けた。別に欲しいものがあるわけでもないのだが、クレーンゲームも久土和と一緒に楽しみたいとそう思っていたからだ。 「おう! やるか!」  迷いもなく即答してくれる久土和に気持ちが高鳴りながらも元音は何の景品を狙おうか考え始める。久土和に聞いてみるが、彼は何でも良いそうだ。  そんな彼らしい回答に鼓動が速まりながらも元音は大きなぬいぐるみに狙いをつける。 (取れるかなあ)
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