第二十四話『デート』

10/15
前へ
/251ページ
次へ
 たこ焼きを先に提案したのは久土和(くどわ)の方だった。  元音(もとね)は特に好き嫌いもない上に久土和の意見に全同意したかったため二つ返事で彼の案に賛同していた。  種類駅は大きな駅なだけあり、たくさんの飲食店が建てられている。その中で、一番大きなフードコートを取り扱っている建物が一軒あり、その中のたこ焼き屋で二人は昼食を摂ることにしていた。 「たこ焼き、こっちも食べてみる?」  久土和は柚子胡椒(こしょう)味のたこ焼きを選んでおり、それが好きなのか同じものを三セット注文していた。  十個入りのたこ焼きを三セット頼む彼の食欲にも驚きだが、たくさん食べる久土和がカッコよく見える。  そして元音は八個入りのたこ焼きを注文しており、味は明太マヨネーズを選出していた。久土和にも明太マヨの味を楽しんでもらいたいとそう思っての提案だった。 「おっいいのか!? じゃあ俺のも一個あげるな! サンキュー平ちゃん!」  そう言って久土和は箸で一つのたこ焼きを掴むと、しかしそこで動きを止める。  元音はドキドキしながら彼の行動に注目していると途端に久土和は掴んでいたたこ焼きを皿に戻しながら「すまん、直箸(じかばし)で渡すとこだったわ」と言って箸の上下をひっくり返し始める。 (わ、わ、わきゃ〜〜〜〜〜〜っっっ!!! 久土和くん、配慮してくれたんだっ!? ええっ紳士すぎる……いや、間接キスのチャンスかなってちょっと期待してたけどそれでも配慮する久土和くん素敵すぎる……王子様スキル高すぎだよ〜〜〜っ!!!)
/251ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加