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「え〜元音、本気なんだね」
可菜良がそう呟いてきた為、元音も彼女に視線を戻して大きく頷く。
「てかさっきから『久土和くん』って、あんたが男子を君付けするなんてね」
すると次は美苗がそう言って元音の頭をそっと撫でてくる。先程ぺちっとしてきたおでこを今度は撫でてくるのだから美苗の優しさが窺える行動だ。
しかし彼女の言っている通り確かに呼び方は極端に思えるかもしれない。
だが元音は好きな人は呼び捨てにしたくなかったんだよねと口に出すとそこで朝の予鈴が教室内に鳴り響いた。
どうやら久土和に恋をした瞬間の経緯を話すのは、次の休み時間になりそうだ。
教師が教室に入り、生徒達は一目散に自席へと戻り始める。元音はもう一度久土和の方へ顔を向け、彼の表情を目に焼き付けていた。久土和は楽しそうな口角の上がった顔をしている。
今まではなんとも思ったことがなかったのに、今は彼が楽しそうにしているのが嬉しかった。
そして元音は彼の連絡先を手に入れようと昨日考えていた重要な事を改めて脳内に浮かべ、きたるべきタイミングを見計らうのであった。
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