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「美味かったな! 次はどのゲームしたいとかあるか?」
「美味しかったねっ! えへへ、わたしもぐら叩きやってみたいなっ!」
「おっいいな! じゃあ次はそれいくか!」
種類駅前のフードコートエリアから離脱し、久土和と歩いて数分のゲームセンターへ戻っている最中、彼とそんな会話を交わす。まだまだ帰る時間ではない事が嬉しい元音は、気分が高まり続けたまま彼との会話を楽しんだ。
そうしてもぐら叩きをしてからメダルゲーム、対戦ゲーム、そして再びシューティングゲームとたくさんのゲームを遊び尽くした元音達は夕方頃になってゲームセンターから退出し、元音は時間が経つことが早すぎる現実に驚く。
(もう終わり……早過ぎ)
夏休み、久土和ともう会える事はないだろう。彼から誘ってもらえるならともかく、何度も遊びたいと元音から口にする事はできなかった。誘うのが怖いという理由からではない。
彼に一方的な想いを寄せている自分が、彼の優しさに甘えて付き合ってもいないのに何度も遊びに誘うのはあまりにも図々しいと自覚しているからだ。
それに、久土和も決して暇人ではないだろう。彼は夏休みも柔道部の活動があるのだと、学校で聞いた事があった。だから夏休みはもう彼に会えない。
一ヶ月間は久土和との会えない日々が続くのだ。
そう再実感した元音は寂しい気持ちを抱きながらも久土和と肩を並べて駅へと向かう。このあとはもう電車に乗って久土和と別れるだけである。
「あっという間だったな! すげえ楽しかった!」
(わ〜〜〜っ!!!)
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