第二十四話『デート』

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 そして本当に家の前まで久土和(くどわ)元音(もとね)を送り届けてくれていた。  最寄り駅からそれなりに歩く自宅は、久土和に送ってもらうのが忍びなかったのだが、彼は「もう今日は予定もないからよ! 気にすんな!」と言って送ってくれたのだ。  帰り道が分かるかどうかも気になっていたのだが、彼はどうやら地理感に自信があるらしく、得意げに心配はいらないと言い切っていたのを思い出す。その自信満々な久土和の姿はとても頼もしくて可愛らしく、魅力的な王子様だった。  元音は布団の中に入りながら今日一日の素晴らしいデートを振り返り、にやけながら久土和にレインを送り返す。 『今日一日本当にありがとうっ久土和くんが大好き!!』  そう送り、スタンプでも『ラブ』と文字が書かれたものを送ると、彼はありがとな! と太陽のような笑顔を思わせる内容を送り返してくれ、元音の気持ちは本当にうるさくて仕方がないほどに昂りまくっていた。 (今日の事ぜっっったい忘れない! しえちんと可菜良(かなら)にも報告しよっ)  夏休みの楽しみがもうないと思っていた元音であったが、久土和とのレインが夏休みの間も続けられる事に希望を抱けていたため、明日が来るのも楽しみになっていた。  早く夏休みが終わらないだろうかと思う気持ちも確かにあるが、久土和との連絡を楽しみにこの長期休暇を謳歌したい。そう思いながら眠りにつくのであった――。 第二十四話『デート』終               next→第二十五話
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