第二十五話『運命の再会』

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(柔道の見学、行きたいなあ……)  始業式が終わると今日はもう下校するだけだ。しかし久土和(くどわ)のかっこいい柔道姿をまたこの目で見たいとそう思っている。  元音(もとね)はそんなことを考えながら久土和の座る席を見つめた。  終礼が終わった教室は騒がしさを見せており、久土和も楽しそうに友人らと言葉を交わしている。 「元音、帰らないの?」  すると可菜良が話し掛けてきた。下校したらすぐにデートだと言っていた美苗はもう既に教室にいなかったが、可菜良は今日は何も予定がないようだ。元音は可菜良に視線を向けながら声を返した。 「柔道部の見学、行こうかなって考えてるところ。えへへ」 「あ〜っ元音はほんと久土和大好きなんだね〜っふふ、がんば!」 「ありがとっ可菜良はもう帰るの?」 「お昼だけ元音と食べてこっかな、誰かと約束してる?」 「ううんっ一緒に食べよっ!!」 「よしっ! じゃあお昼買いに行こ〜!」  可菜良が笑顔でそう口に出し、元音も席を立ってご飯を買いに足を動かす。しかしそこで先に久土和へ声を掛けておこうと少しだけ可菜良に待っててくれと言い、急いで久土和の方へ足を向けた。 「久土和くんっ」 「おっ平ちゃん! 帰らんのか?」 「あのねっ今日久しぶりに部活の見学行こうと思って! 大丈夫かな?」
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