第二十五話『運命の再会』

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 夏休みを挟んでいるので見学に行くのは約二ヶ月ぶりだ。  元音(もとね)久土和(くどわ)の視線を真っ直ぐ見つめ返しながらそう尋ねると、彼は少しの間を置く事もなく「大歓迎だぜ!」と二つ返事で了承してくれていた。  そうして顧問には久土和の方から伝えてくれる事、午後の一時になったら部活が始まる事を教えてくれる。 「そういや昼飯はどうすんだ?」 「あっ可菜良(かなら)と一緒に食べるよっ!」 「そうか! じゃあ飯食ったら十二時半に教室に来てくれねえか? せっかくだし一緒に行こうぜ」 「………っ!!! うんっ!!」  久土和は太陽のように笑い、元音は本日何度目か分からないときめきを全身で感じる。  彼の意思で元音と一緒に部活に行こうと思ってくれる事がとてつもなく嬉しかった。そうして元音が久土和の側から離れようとした時―― 「平ちゃん、制服のリボン忘れてねえか?」 「えっ」  驚く言葉が久土和の口から放たれた。なんと、彼は気付いてくれたのか。 「あっうんこれ、家に忘れちゃって! 今日はリボンなしだよっ」 「おっそうか! いやな、平ちゃんも気付いてねえんじゃないかって思ってよ」
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