第二十五話『運命の再会』

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 そう言って楽しそうに笑う久土和(くどわ)の笑顔とその台詞全てに元音(もとね)の気持ちは高まるどころではなくなっていた。もう本当に、本当に彼が好きだと重すぎて強すぎる想いが洪水のように元音の心中を駆け上がっていく。 (久土和くんが制服のリボンがない事に気付いてくれるなんて……っ!!! 好きっっっ)  そう、元音の通う高校の制服は正直そう目立つリボンではない。  ただ指定された細長い黒紐を結びつけるだけのリボンなのだ。リボンに太さがないので、気にしない人は気にしないし、久土和のような性格の人間ならほとんど気に留めないようなものだと思い込んでいた。  思い込んでいたのだが――それは元音の勝手な想像であったようで、これは嬉しい間違いであったと認識を改める。 (久土和くん、こういうの気付いちゃう人なんだ……王子様)  そう妄想を膨らませながら可菜良(かなら)の元に戻ると、彼女と共に昼食を買いに足を動かすのであった。その間、元音の頭が久土和への愛で溢れていたことは言うまでもない。
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