第二十五話『運命の再会』

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鉄平(てつひら)さん、久しぶり! 来てくれたんだね〜」  久土和(くどわ)と幸福の移動時間を過ごしながら元音(もとね)は柔道部が活動する体育館へと訪れ、マネージャーの斉藤(さいとう)に歓迎される。 「斉藤先輩お久しぶりです! 来ちゃいましたっ」 「あれ、鉄平さん」  すると斉藤の少し後ろに立っていた一人の生徒がこちらの名を呼んできた。元音が視線を向けると、そこに隣のクラスである雪乃(ゆきの)琴果(ことか)が元音に話かけてきたのだ。彼女は顔見知り程度の同級生だ。 「雪乃さん、柔道部のマネだったんだっ」  初めて元音が柔道部の見学に赴いた際、斉藤からもう一人マネージャーがいる事を聞いていた。  しかし元音が見学に行った二回共、もう一人のマネージャーを目にすることは偶然にもなかったのだ。そのため雪乃がマネージャーである事は今の今まで認知していなかった。 「そうそう、鉄平さん見学の時は私用事があって休んでたから。柔道部の見学よく来てくれるんだね」 「えへへ、うん。久土和くんのかっこいい姿見たくて」  包み隠さず彼女にそう言うと、雪乃は驚いた様子を見せながらも一途なのいいねと元音の背中を押してくれる。  彼女に返事をしながら元音は久土和の姿を自身の視界に入れ、彼が懸命に部活に励む姿を目に焼き付けながら楽しい見学時間を過ごすのであった。
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