第二十五話『運命の再会』

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久土和(くどわ)くん、部活お疲れさまっ! かっこよかった〜っ好きです」 「おう平ちゃん! 今日も見てくれてサンキュな! 長いから疲れたろ?」 「全然だよっわたしは見てただけだし……っ」 「ただ見てるだけってのも疲れるもんだと思うからなー、少し待たせちまうが終礼終わったら一緒に帰るか?」  ただ見ていただけの元音(もとね)に対しても労ってくれる久土和の素敵すぎる性格にときめきながらもう一つときめくお誘い文句を口にしてくれる彼に元音は大きく頷く。 「うんっ帰りたいっ! えへへ、下駄箱付近で待ってるねっ」 「おう! なる早で行くな!」  そんなやりとりを終えると、着替えるため久土和は柔道部のメンバーと共に体育館を後にする。元音は斉藤(さいとう)雪乃(ゆきの)に声を掛けられ、元音もそのまま一緒に体育館から離脱を始めていた。 「鉄平(てつひら)さんいつも久土和に告ってる感じ?」  階段を登りながら雪乃にそう問い掛けられる。元音はうんと肯定して笑みを溢すと、その返答に感心したように雪乃は「まじ……すごいね」と声を返した。 「告白はして振られてるけど、アピール中なんだ。久土和くんもそういうの平気だって言ってくれたから、諦めてないの」 「本人公認って事か、初めて聞いた」 「えへへ」  そんなやり取りを交わしてあっという間に階段を登り切ると、元音はそのまま終礼の準備がある二人と別れる事になっていた。 「鉄平さんよかったらまた来てね。今日もありがとう」 「はいっ! 先輩今日もありがとうございましたっ雪乃さんもありがとうっ」  二人に会釈をしながら元音は下駄箱のある場所まで一人足を運んだ。  久土和を待つのは数十分くらいだろう。それまで妄想して待っているのが今の心境的にとても良いと考える。  そうして下駄箱付近の壁に背中を預けながら元音は妄想にふけ始めるのであった。
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