第二話『行動』

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 勢いに乗った元音(もとね)はそのまま尋ねたかった事を口に出し、久土和(くどわ)の反応を待つ。自分でも少し欲張りすぎな気もするのだが、彼は全く警戒していないのか二つ返事で言葉を返してくれた。 「勿論いいぜ! レインはそうだな、俺はその日によって違うがきたらきたで問題ないから気にすんな!」 「あ、ありがと……!!!」  彼の優しい回答に元音は気持ちがどんどん高揚し、震えそうな手でスマホを差し出してレインのQRコードを彼に見せた。  久土和も楽しげな様子でそのコードを読み取り無事にレインの交換が終わると「じゃー宜しくな! 平ちゃん」と声を発してくる。 「平ちゃん……? …ってわたしのこと!?!?!?」 「おう、もうダチだろ? レイン交換してるしな!」 (きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!)  フレンドリーすぎる久土和の対応に元音の鼓動は一向におさまりを見せず、明るい調子で笑いかけてくる久土和に完全に心臓が持っていかれていた。 「おーい久土和!! 帰ろーぜ」 「おー今行く」  元音が嬉しさのあまり思考が停止している中、久土和を呼ぶクラスメイトの声で彼はリュックを肩に掛け「じゃ、またな!」と元気に言葉を向けてくる。  元音は反射的に大きく手を振り、久土和ももう一度明るい笑みを返すとそのまま教室を出て行った。時間は僅か五分。しかしそれでも元音は満足だった。  恋心を抱いてから二日目。元音は久土和の連絡先を入手する事に見事成功したのだ――。 第二話『行動』終                 next→第三話
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