第二十八話『ライバルからの報告と…』

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 地獄の土曜日の日付が日曜日に変わったところで元音(もとね)はすぐに雲園(くもぞの)へレインを送っていた。  どうなったのか気になって仕方がなかった元音は、深夜だからという配慮を一切せず雲園から返事が来るのを待つ。土曜日丸一日待っただけでも褒めてほしいというものだ。  久土和(くどわ)に直接連絡をしなかったのは、単に聞きづらいからだった。いきなり雲園と付き合うようになったのか問いただすのは流石の元音にも出来そうになかった。 (遅いな……)  しかし一時間が経過しても雲園からの返事はない。レインの既読はついているのだが、既読がついてからそれなりの時間が経っている。どうなったかだけでも聞きたいのに一向に返事が返ってこない為、元音の心境はとても複雑であった。 (もうっ! 寝れないじゃんっ)  もどかしさを感じながら電話をしようと思い立った元音であったが、しかしそこで待ち侘びたレインの返事が雲園から返ってくる。  だがそのレインの内容は元音が求めていたものではなく、全く納得のいかないものだった。 『月曜日に話します』 「えっ!!!?」  それだけだ。振られたとも、付き合う事になったとも何も書かれていない。簡単に文字に打つだけでいいのに彼女の返信にはそのような内容が書かれていなかった。 「なんで焦らすのっ?」  雲園への怒りを感じながらもだが電話をかけることは躊躇われていた。  今すぐに問い詰めたい気持ちは山々なのだが、雲園の事だ。電話をかけたところで教えてくれるはずもない事が分かってしまっていた。というより、電話をかけてもメッセージを再送しても、雲園が返答をしてくるとは考えられなかったのだ。  非常に腹立たしいところだが、元音はそこまで冷静に考えてスマホを布団の上に投げ捨てる。そしてやるせない思いを抱きながらも、不安な夜を過ごすのであった。
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