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こうなったら本人に直接相談しよう。結論が出ない元音はそう決心した。悩むよりこれが一番確実で安心だろう。
「待って鉄平さん! 久土和君がいいって言ったって、未来は本人にも分からないんだから、意味ないんじゃ…」
「わたしは久土和くんがどう思うのか直接本人に聞きたいです。わたしが久土和くんに聞かずに判断して、後悔する事があったら嫌です。先輩のお話は一理あるし、絶対にないとは言い切れませんけど、わたしは大好きな久土和くんに直接聞いてみますっでも心配してくれてほんと嬉しかったですっありがとうございますっ」
元音はそう自身の意見をはっきり告げると、斉藤に会釈してからそろそろ戻らないとですねっと言葉を続ける。
斉藤は意表をつかれた様子だったが、元音の次の一言で我に帰ったように時計に視線を向け、慌てた様子で「そうだね!」と口にすると、そのまま体育館まで戻り始めるのであった。
第三十話『善人の助言』終
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