第三話『口実とやり取り』

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久土和(くどわ)くんのレインゲットしたんだ!!」 「はやっっっ!!!!!」  翌日いつものメンバーが学校に集まってから二人を屋上へ連れ出し昨日の出来事を報告すると、彼女らは目を丸くしながら驚いた様子で元音(もとね)の話を聞いてくれていた。元音の行動力の速さは二人共予想外だったようだ。 「元音が行動する子ってのは知ってたけど、あまりにも早すぎでしょ。驚いた、すごっ」  美苗(しえ)がそう言って元音の頭を優しく撫でてくる。  元音はふふふと隠しきれない笑みを溢すと「レインのやり取りも見てほしいんだ〜っ」と口にして自身のスマホを皆に見えるように三人を囲む円の中心へ持っていく。 「久土和くん一時間くらいずっと返事返してくれてて!! すっごく優しくない!?」  昨夜久土和と交わしていた長い履歴が残った何の変哲もないやり取りを美苗と可菜良(かなら)に見せる。  するとそれを眺めていた可菜良が言葉を発した。 「レイン獲得おめでとう元音! あとは久土和の心をしっかり射止めるだけだね」  まるでゲームのようにそう言ってくる可菜良はゲーム好きな空名(くな)の影響をここ最近受けているせいかそんな事を口にする。  元音は大きく頷くと「頑張るっ!!!」と二人の前で強い意志を表明するのであった。そうしてスマホを自身の懐に戻し再び口を開く。 「ねえねえ、可菜良としえちんの恋バナも聞きたい〜!!」
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