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本当に予想外で予定外で想定外だった。
まさか久土和の口から好きと言う単語が出てくるとは、夢にも思わなかった。いや、いつかは夢見ていた事であるのだが、まさか今日、このような展開が訪れるとはさすがの元音にも想像がつかなかったのだ。
元音は久土和の言葉をもう一度頭の中で反芻しながら彼の瞳を見る。
目が合っても決して逸らさない彼の瞳は、この世に住まう誰よりも魅力的で素敵な王子様の目をしていた。
「く、久土和くんっわたしに告白っ……!?」
元音は思わずそんな返答を口にする。答えなどイエスと言えばいいのだが、元音はあまりにも動揺してそんな言葉を繰り出していた。
すると久土和は元音の動揺っぷりに言及する事なく、大きく頭を頷かせる。
「ああ、平ちゃんに告白だ。平ちゃんの事好きだって今気付いたんだ俺」
(す、好きって言った……好きって言ってくれた!!!!!!!)
夢、夢、そう夢だ。現実だけど、これは夢にまで見た光景であり、王子様である久土和と数々の日々を経て実る最高の瞬間だ。元音は目を輝かせながら震えかけている唇を開く。
「付き合いたいですっ!!! わたしも久土和くんが大好きっえっ今日から彼女になっちゃえるの…っ!!?」
元音の慌てふためいた様子が可笑しかったのか、久土和は満面の笑みを向けながら楽しそうに笑い出す。そうして元音の頭に手を置いて優しく声を落としてきた。
「ありがとな平ちゃん!! 今日から平ちゃんは彼女だなっ」
(えっええええええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!? 彼女っ彼女認定してもらえたっ!! やばいっ!!!!!)
もう元音の頭の中は大混乱状態だ。
しかし嬉しくてたまらない感情は、恋人がするであろう行動へと、何の躊躇いもなく極々自然に移行し始める。
(ちゅ、チューとかできちゃうっ!!? わたしからしちゃおうかなっ!!? えっやばいっ)
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