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ドキドキが溢れんばかりの元音は、そんなことを思いながら一歩久土和に近付こうと右足を前に出す。
そうして左足を出して彼の首に手を回し背伸びをすれば、晴れて久土和との初キッスが達成される。と、そう思っていたのだがいつの間にか元音の両肩には久土和の手が置かれ、ごく自然に彼の唇が自身の唇に重なっていた。
(!?!?!??)
重なるだけの短い口付けが終わり、久土和は元音から顔を離すとニコリと笑顔を見せながら唐突に元音の体を持ち上げる。
ふわりと体が浮く感覚を覚え、高揚感があった。対して元音の両の腰を支えながらこちらを持ち上げた久土和は、眩しい笑顔で元音を見上げていた。
「宜しくな!」
そして彼はこれからの関係を表すようなセリフを口にしてくる。
元音は彼の嬉しい言葉を受け、幸せの最高潮を実感していた。
大好きで愛おしく、一生好きでい続けると固く胸に誓ったあの王子様が、自分を好きになってくれた。夢のような話だ。きっと美苗や可菜良もそう思うに違いない。
だが久土和が元音を好きになってくれたのも、元音と恋人になれた事も、初めてのキスを交わせたことも、全て夢ではない。
「勝旺くんっ大好きですっ! よろしくねっ」
「おう! 俺も大好きだ!!」
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