第三十一話『久土和の思い』

7/7
前へ
/251ページ
次へ
(ひゃあああああ〜〜〜〜〜〜〜〜)  幸せの絶叫が、心の中で繰り出される。  そうして久土和(くどわ)にゆっくり地面へ下ろされると、元音(もとね)は久土和に不意打ちのキスをした。もっと久土和と接近したい。そんな気持ちが強かった。 「勝旺(かつお)くん……勝旺くんって呼んでいい?」  もう既に呼んでいるが、元音は唇を離すとそう彼に問いかける。すると目の前にいる久土和はこちらの頭を撫でながらこう口に出してくれるのだ。 「勿論だ! 俺も元音ちゃんて呼ぶな」 「うんっ嬉しいっ!! 勝旺くんっ」  そう言って勝旺に抱きつくと、彼は楽しそうな声を発しながら「元音ちゃん、かわいいなっ」と最高の褒め言葉を口にして元音の背中を優しく抱き止めてくれた。  もう最高に最高が重なり、宇宙級の最高が出来上がっているのだが、この時間が永遠に続いてくれればと願わずにはいられない。  元音は勝旺としばしの抱擁を続けると、二人仲良く手を繋ぎながら帰宅し始める。元音の心は人生で一番に煌めいていた。それはもう、まるでお姫様になったような気分で――。 第三十一話『久土和の思い』終               next→第三十二話
/251ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加