第三十二話『カップルになった翌日』

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第三十二話『カップルになった翌日』

勝旺(かつお)くんとカレカノになりましたっ」  翌朝、久土和(くどわ)もとい勝旺と待ち合わせをした元音(もとね)は、二人で仲良く手を繋ぎながら学校の教室まで足を運んでいた。  それから教室に足を踏み入れると、案の定手を繋いだ二人を目にしたクラスメイトが騒ついたのだ。目立つのが好きではない元音も、だがしかし今回の件に関してはクラスメイト中に言いふらしたい思いだった。  そうして教室に入って早々、美苗(しえ)可菜良(かなら)に視線を合わせながらもクラスメイトに聞こえるようにお付き合いの報告をしたのである。  皆に勝旺の彼女だと印象付ければ、勝旺に悪い虫が寄ってくる事もないからである。それに、勝旺が恋人になってくれたと言う事実を知って欲しかったというのもある。 「えっ久土和マジかよっ!!? ドッキリとかじゃねえの!?」 「クド急すぎだろ!! てか鉄平でいいのかよ!?」 「おいおい鉄平(てつひら)、惚れ薬でも盛ったのか!!?」  驚いたクラスメイトはそんな言葉を投げかけてくるが、元音はどうでも良かった。勝旺が恋人になってくれた事実は変わらないからである。 「薬なんて元音ちゃんが盛るわけないだろ? ドッキリでもねえよ、昨日の放課後から付き合うことになったんだ、俺ら」 (俺ら……っキャ〜〜〜〜〜っっっ)
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