第三十二話『カップルになった翌日』

9/9
前へ
/251ページ
次へ
 勝旺(かつお)の部活が無事に終わり、二人で手を繋ぎながら帰路に着く。帰っている途中で勝旺は嬉しい提案をしてくれていた。 「付き合って初めてのデートしてえよな! 元音(もとね)ちゃん希望あるか?」 「えっしたいっ!! どこでも嬉しいけど、水族館とか、遊園地とか、映画館とか行きたいっ」 「全部楽しそうだなっ! 一つずつ行きてえな、じゃあまずは水族館でどうだ?」 「うんっそうしよっ!! えへへ、楽しみっありがとうっ」  そう言って満面の笑顔を見上げた先の彼に向けると、勝旺は愛おしそうに元音の頬を優しく触った。キュンと胸が高鳴り、勝旺の唇が欲しくなる。ここは電車の中なので、そんな事は出来ないのだが。 「今週の日曜空いてるか?」 「勿論空いてるよっ! いっぱいお洒落するね!」  そんなやり取りを交わして近い未来の楽しみを元音は頭の中にインプットする。  勝旺とのデートはこれが初めてではないが、付き合ってからのデートは初めてだ。つまり、初デートなのである。もう一度言うが初デートなのである。 「おう! 元音ちゃんのお洒落楽しみにしてるな!」 (わあああ〜〜〜〜〜〜きゃ〜〜〜〜っっっ)  勝旺は笑って言いながら元音の頭にポンと大きな手を置く。付き合っているのだ。大好きな王子様とこのようにしてラブラブな会話を繰り広げられる今この瞬間が最高に幸せだ。  元音はその幸せをこれでもかと言うほどに味わいながら、そのまま愛おしい帰り道を堪能していた。 第三十二話『カップルになった翌日』終                 next→最終話
/251ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加