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勝旺と付き合ってから日常が輝いて見える。
勝旺という王子様を見つけた時から元音の人生が薔薇色に輝き、幸せなものになっていた事は変わらないが、勝旺とお付き合いがスタートしたことでそれはまた一段と輝きを増している。
「この化学式の意味はどうなってんだ?」
「ここはこう考えてみると結構楽かな」
「へえ、そうか」
「元音ちゃんの教え方はわかりやすいよな! 流石だ」
岩根の声に続けて勝旺の声が元音の耳に響く。元音はその瞬間パッと満面の笑みに変わると勝旺に向け声を返した。
「えへへっありがとうっっ」
「あーもう、イチャイチャすんのは後にしろって」
勝旺の要望で、化学が苦手な勝旺と岩根の三人で放課後勉強会をすることになっていた。
学校の教室で三人机を囲み、化学が得意な元音が二人に解き方を教える勉強会だ。
岩根がいるのは少し邪魔だが、しかし友人思いの勝旺からの提案なので、元音も手を抜かず岩根にしっかり勉強を教えている。
「元音ちゃん、この問題も教えてくれ。いつも躓くとこなんだよなあ」
「ここはこうするんだよっ」
元音の教え方に一度首を傾げていた勝旺は、しかし数分置いて内容を理解できたのか嬉しそうな顔になると「やっぱ元音ちゃんの説明は分かりやすいぜ! 可愛いしな!」と極上の褒め言葉を投げてくれる。
このように勝旺が躊躇せず元音を誉めてくれるので、こちらとしてはホクホクな気分が収まらない。
岩根に二人きりでいちゃつけと注意をされるのはもう六回目くらいだろうか。
まあ注意をされても、止めることなどしないのだが。
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