王子と姫を当てはめて

最終話『王子と姫』

「ねえこれスクショしてわたしのレインに送ってもいい？」

「はあ！？　お前彼女なのにそんなこと続けんのか？」

「えっそれ関係なくない？　片思いでも両思いでもやる事は同じだよ」

「まあいいけどよ、勝手に送っていいよ。レイン履歴消してねえから鉄平(てつひら)のトークは下の方にあると思う」

「ありがとっ」

　岩根(いわね)とそんなやり取りを終えると元音(もとね)は満足げな様子でスクリーンショットをして、岩根のトーク履歴の下の方へと画面をスクロールした。

　以前彼には勝旺(かつお)の写真を雨宮(あめみや)と共に撮影してもらっているので、その時にレインの交換をしていたのだ。下の方でようやく自分のトーク履歴を見つけると、そのままタップして自身のレインへスクショの写真を送る。

　元音がホクホクした様子で岩根にスマホを返すと、彼は呆れたような顔を見せながら「化学の続き聞いていいか？」と口にしてスマホを受け取る。

　勝旺充電が十分になった元音は、岩根の言葉にうんと答えると、勝旺が戻ってくるまで岩根の言う化学の疑問点を教えるのであった。