第三話『口実とやり取り』

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 気が付けばあっという間に朝の予鈴が鳴り、話に没頭していた三人は慌てて教室へと戻り始める。 「おっ平ちゃん! はよーっす!」 「……っ!!!」  教室に入ったところで久土和(くどわ)と目が合った元音(もとね)は、ナチュラルに曇りのない笑顔で彼が挨拶を向けてくれた事に感動と嬉しさが混じり合っていた。そうして一拍置いてすぐに声を返す。 「おはよ!!! 久土和くん、昨日はありがと!」 「おう!」 「席付けー」  教師がすぐにやってきて会話はそこで終了となっていたが、久土和が話しかけてくれた事が嬉しくて堪らなかった。  元音はにやけそうになる口元――いや、もはや隠しきれていない口を横に伸ばして嬉しさを噛み締めながら朝の朝礼を受けるのだった。
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