最終話『王子と姫』

9/16
前へ
/251ページ
次へ
 勝旺(かつお)と付き合ってから女子会を行う時間は減っていた。  だが、元音(もとね)は世界で一番幸せな展開の連続だと断言しても過言ではないこの最近の出来事を、友人らに話したくて仕方なかった。  勝旺とは一緒にいたいがしかし、皆にも惚気たい。もちろん、第一は勝旺との時間なのだが!  と、そんな思いがあった元音は、勝旺が部活の日に他クラスの(あん)友梨(ゆり)を教室へ呼び、恋バナ会を開く事にしていた。  部活の見学に毎度行くというのも勝旺の立場を考えると、部員達から彼への印象に問題が生じそうな為、ちょうど良いのが彼の部活の日の放課後だったのだ。 「詳細ずっと聞きたかったんだよね〜!」 「可菜良(かなら)に聞いたけどぉラブラブらしいじゃん、うらやまぁ〜」 「えへへ、ラブラブだよっ」  二人には付き合えることになった報告をレインでしてはいたものの、しかし詳しい話はまだ出来ていなかった。  元音のフィルターかかりまくりな報告に、二人は嬉しい感想をそれぞれ繰り出してくれる。  三人で教室の椅子に腰掛け、自販機で購入したジュースを机に置きながら恋バナに花を咲かせる。  勝旺ともうキスをした話や、初デート親に挨拶をしてくれた話、そして初デートの最高な時間を二人に延々と話し、だが二人はそれを終始楽しそうに聞いてくれていた。  そうして元音の話が一段落すれば、杏と友梨のそれぞれの恋愛事情を聞く体勢に入り、女子会は二時間程続くのだった。
/251ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加