最終話『王子と姫』

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 口コミ通りの面白い映画を見終えた二人は、映画の感想を言い合いながら楽しく手を繋いでショッピングモールの中を歩いていく。  このままブラブラとウィンドーショッピングをしてお昼を食べるのだろうとそう考えていた元音(もとね)はしかし、勝旺(かつお)の次の言葉に驚いていた。 「ちょっと連れて行きたいところがあるんだ、ここ出てもいいか?」 (えっ何か考えてくれたんだっうれし〜〜〜〜〜っほんと大好きっ)  心の中の元音が拒否するはずもなく、大きく縦に首を振りながら勿論だよっと声を返す。  勝旺はその反応を見て嬉しそうにニカッと王子様スマイルを見せてくれると、こちらの頭に手を置きながら「そんな歩かねえから安心してくれ!」と気遣いの言葉まで繰り出してくれるのだ。  勝旺ほど素晴らしい彼氏など絶対に存在しない。  元音は疑いようのない確信を抱きながら、彼と仲良く屋外に出るのだった。
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