第四話『確認』

2/5
前へ
/251ページ
次へ
「う、うん……ほら、毎日ってなるとやっぱり返すの大変かなとかちょっと気になっちゃって」  元音(もとね)がいつになく弱腰になり、そう言葉を返していると、彼は一歩こちらに近付いて元音の頭上に何かが乗った。これは久土和(くどわ)の大きな手だ。 (え、えええええええ〜〜〜!!?!??)  自身の頭の上に久土和の逞しくも大きい手が優しく置かれている。ポンと、王子様に頭を撫でられる光景を何度夢見てきたか分からない元音にはこの状況はご褒美以外の何ものでもなかった。  すると久土和はそんな元音に笑顔を向けながらこんな言葉を発してくる。 「そんな事気にしてたのか! ありがとな!! けどよ、前に言ったろ? 気にすんなって。平ちゃんとレインすんのは俺もめっちゃ楽しいし遠慮はいらんぜ!!」 「ほ、ホント……?」 「おう! 嘘つくの下手だからな俺!」 (下手なんだ……かわいい、素敵…)  久土和の嘘とはとても思えないその明るさと、彼の発言にクスリと笑みが溢れる。そして一連のやり取りで彼の言う言葉を信じていいのだと安心する事ができていた。 「じゃあ……今日も帰ったらレイン送っていい?」 「おうよ! いつでも待ってるぜ!!」 (や、やったやった!!!!!)  久土和の即答に元音はすっかり自信を取り戻していた。彼に肯定されただけで気持ちが頂点へと高揚しているのが分かる。 (ほんと好き!!!!!!!!)  久土和との幸せな会話が終わると、元音は放課後久土和へ送るレインの事で頭がいっぱいになっていた。
/251ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加