21人が本棚に入れています
本棚に追加
「久土和くんおはよっあのね、これ見て欲しくて……っ!!」
教室に入ってきた久土和にいの一番に話しかけ、元音はスマホの画面を見せる。
そこには久土和の写真が待ち受けとして登録されており、それを見た久土和は「おっ平ちゃんのスマホかっ!?」と驚いた様子を見せていた。
しかしすぐに笑みを作ると「嬉しいなーっありがとよ」とお礼を口にしてくれる。何という神対応なのだろう。
「えへへ、この間雨宮と岩根に写真撮られたでしょ? 実はわたしがお願いしたんだ……それで久土和くんを待ち受けにさせてもらったの」
「へえ〜あれ平ちゃんの頼みだったのか! 驚いたけどよ、楽しかったんだぜ! ちょい照れ臭えけどな」
そう言いながら笑いかけてくれる久土和にハートを射抜かれ「すき」と声を発すると彼は笑いながら「いつもありがとな!」と笑顔で返してくれる。本当に幸せだ。
彼の写真も現像し、実はこっそりお気に入り三選をカバンに忍ばせているのだが、これは元音だけの秘密だ。久土和にドン引かれないかという問題ではなく、自分だけの秘密というのも持っておきたかった。元音の独占欲的なものである。
「今度一緒にツーショット撮ってもらってもいい?」
意を決して彼にそう問いかけると、久土和は悩む事なく「おっ平ちゃんと撮るのもいいな!」と心底嬉しそうに笑ってくれるのだった。
久土和の全面的に肯定してくれる姿勢が本当に元音を幾度となくときめかせている事に彼は気付いているのだろうか。
「やったありがとっ! じゃあまた後でねっ」
元音はそう言うと教室に入ってきた美苗と可菜良を見つけて彼女らに駆け寄る。
そうして二人に昨日の写真の一件を報告して、二人から驚いた表情でツッコミを受けるのであった。
第十二話『写真が欲しい』終
next→第十三話
最初のコメントを投稿しよう!