21人が本棚に入れています
本棚に追加
金堂は突然そんな言葉を放ち始める。元音は耳を疑うが、彼はこちらを非難するような視線を見せながら言葉を続けた。
「クドは優しいから拒絶とかしねえけど、振られてんのに何度も話し掛けてあいつに付き纏って、マジでやめた方がいいぞ」
金堂の言っている事はまあ正しいのかもしれない。だが……
「それ、金堂には関係ないじゃん。久土和くんが迷惑だって言うなら勿論止めるけど、何で本人でもない金堂が口出ししてくるの？」
声は荒げず淡々と言葉を述べた。彼に付きまとう事で久土和本人が嫌がるのなら元音もきちんと行動を改める。しかし久土和は本当に嫌だともやめてほしいとも口にしてきた事はないのだ。
彼が優しいから気遣ってくれているのかと思う考えも、久土和の分かりやすい態度を見れば気遣いなどではなく、本心で嫌がっていないのだと理解ができる。
それに久土和は嫌なら言うと自分で言っていたのだ。彼の言葉を忘れるわけがない元音はそれを思い出しながら金堂に言葉を向ける。
「好きな人に話しかける事の何が悪いの？ 久土和くんに話し掛けてるだけで何も迷惑かけてないじゃん」
「あのさあ」
そこまで言うと、金堂は呆れた様子で言葉を重ねてきた。
最初のコメントを投稿しよう！