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彼の台詞は元音を非難ばかりしてくるものばかりだ。
別に久土和以外の男子にどう思われようと構わないのだが、久土和へのアピールを止めろと文句を向けてくる金堂には怒りが芽生えていた。しかし口喧嘩ほど時間がもったいない事はない。元音はこの会話を一刻も早く終わらせようと最後に声を出す。
「そっちの言う事なんて聞かない。わたしは久土和くんがいいって言うなら続けるだけだから」
そう言って元音は彼の言葉を待つ事なくそのまま教室の方へと足を進めた。だが金堂に腕を掴まれ「いや止めるって言えよ」と離脱を妨害されてしまう。
「クドが優しいから言わないだけで俺があいつだったらすげー迷惑。他の奴らもお前の奇怪な行動にドン引きしてんだぞ」
尚もそう口にしてくる金堂に元音は言い返そうとするが、そこで予鈴が鳴る。予鈴の音を聞いた金堂は舌打ちをしながら手を離すと「もうあいつに構うなよ」と捨て台詞を残し先に立ち去ろうとしていた。そんな彼の背中を見つめながら元音は言葉を返す。
「絶対やだ」
「あ?」
振り返った金堂はしかし次の授業の担当である化学教師に「ほら教室入れ」と言われ、そのまま連行されていく。元音も急いで教室に足を踏み入れていた。
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