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「久土和くんにはこれからも好きって言うし話し掛けるし、金堂の望み通りには動かないから」
そう言い切りもう立ち去ろうと早足で廊下を歩くが、デジャヴのように彼に腕を掴まれてしまう。
先程は予鈴に助けられたが、まだ休み時間は半分くらい残っている。元音は冷や汗をかきながら彼の方を振り向くと、金堂に「いい加減にしろっつってんだクソ女」と暴言を放たれた。
更にいつの間にか廊下には人が集まっており、何やら悪目立ちをしている。
野次馬たちは元音と金堂のやり取りに興味があるのか、今のこの最悪な状況が注目を浴び始めてしまっているようだ。
「離してよ」
「お前が付き纏わねえって誓うならな、クソ女」
元音が金堂に掴まれた手を引き抜こうとするが、彼の手はビクともせず動かない。
だが誓う事など絶対にしたくない元音は彼を無言で睨みつけながら腕を動かす。力で振り切れずとも何かの弾みで抜けないだろうかと、そう思っていた時だった。
「おい、何してんだ」
途端、元音の腕が解放される。元音を掴んでいた金堂の大きな手が更に大きな手によって持ち上げられたからだ。助けてくれたのは他でもない久土和だった。
(久土和くん……)
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