第一話『王子様』

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 何かやる事でもあるのだろうか。  それにしてはあまりにも暇そうに見える。疑問が拭えない元音(もとね)はそのまま不思議な思いで久土和(くどわ)を見つめていると、その視線に応えたのか久土和は再び口を開いてきた。 「鉄平(てつひら)に聞きたい事があってさ、だから待ってようと思ってんだ」 「聞きたい事? 別に今でもいいよ」  暇そうな彼をそのままにするのも何だろう。元音はすぐにそう返すが久土和は「いや、待つのはマジでいいんだ。終わったら聞いてくれ」と笑顔で返してくる。 (よく分かんないけど、あと二問だしサクッと終わらせちゃおう)  そこで遠慮するのも時間のロスなので彼の言う通り元音は先に宿題を終わらせる事にした。  そうして数分が経過し、久土和に宿題が完了した事を告げながら帰る支度を始める。 「それで聞きたい事って?」 「長くなるし帰りついででいいか?」 「あー、うん。いいけど」 (何を聞いてくるんだろう?)
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