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次の日になると、昨日の一件であの時廊下にいた生徒達からとある噂が広がっていた。
まあ噂でも何でもない事実なのだが、元音が久土和を好いており、彼はそれを知っているというのが結構な人数に周知されたみたいだ。
元音は振られているけど彼にアピールを続けている、というところまでセットで知られている。
クラスメイト以外にも知られているこの状況は慣れないものであるが、しかし元音はそう校内で有名な存在でもない為、噂される期間も長くはないだろうと割と楽観的に捉えていた。
「元音、あんた有名人になっちゃったね」
「久土和関連でそんな事になるとはね、まあ金堂って結構クセのある男だし、状況聞いたら納得だけど」
元音が登校すると、開口一番可菜良と美苗がそう口にしてくる。元音はその言葉にえへへと返しながら自席に着席をした。
昨日の一件の後、六時限目の授業を知らせる予鈴が鳴りそのまま教室に戻った元音だったが、美苗と可菜良は売店にいたため状況を知らなかったという。
六時限目の後は終礼の後に下校だ。美苗と可菜良の二人は放課後それぞれデートの予定があり、終礼の後は急いでいるだろうと元音はあえて昨日二人に話さなかったのだが、まさか翌日になって二人とも知っているとは予想外であった。
噂の前に二人には報告をしておこうと思っていたものの、その考え通りにはいかなかった。
「元音怖くなかった?」
すると美苗がそう言って元音の頭を撫でてくる。続くように可菜良も「修羅場だったねえ〜泣きたかったら泣け〜!」と言って元音に抱きついてきた。
その二人の対応を見て元音はクスリと笑みが溢れていた。友人達の優しい配慮に嬉しい気持ちが込み上げる。
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