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「えへへ、久土和くんがカッコ良すぎて全然大丈夫だったよ〜っしえちんも可菜良もありがとうっ」
久土和に救われた事を思い出し、元音は幸福感に包まれる。
そしてこれはまさしく王子と姫ではないかと妄想を膨らませていた。
「本当に王子様みたいだったんだよ〜っふふ、改めて惚れ直しちゃった」
「いつもの元音だね、安心したわ」
「元音の前向きさは最強だね! でも辛いことあったらちゃんと可菜良お姉さんに言うんだよ!?」
可菜良が急にお姉さん役を宣言し、それに元音と美苗がツッコミをして盛り上がる。
その後登校してきた久土和はいつものように明るい笑顔で元音に挨拶を向けてくれ、彼との関係はこれまで通りの関係でいられる事を実感できていた。
「もう俺は何も言わねえよ、応援もしねえけどな」
久土和の後に教室に入ってきた金堂は、元音に友好的ではない視線を向けながらもそう言い切っていた。きっと元音をよく思っていないのだろう。それは全く構わないので、元音は彼の言葉にうんとだけ返事をしていた。
金堂もそれ以降こちらに変に絡んでくることはなく、久土和へのアピールを止める者はもう一人もいなくなっていた。
第十四話『王子様からの全肯定』終
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