第十五話『柔道の姿が見たい』

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「見学? そりゃあ大歓迎だぜ! 来てくれんのか平ちゃん!」  授業が終わった休み時間、久土和(くどわ)へ単刀直入に柔道部への見学がしたいと申し出ると、彼は予想通りに満面の優しい笑顔で了承してくれた。  元音(もとね)は心の中で大きくガッツポーズを作り、ありがとう! とすぐに返事を向ける。 「今日の放課後来るか?」 (えっ……!!!)  すると想定外の言葉に元音の心臓は大きく高鳴りを見せる。まさか今日だとは夢にも思わなかったからだ。 「今日でもいいんだ!? 行きたいっ!!」 「ははっ見学いつでも歓迎だしな! よし、じゃあ放課後一緒に行こうな」 (えっデートの約束っっ!?!? 久土和くんと一緒に放課後……)  まるでデートの約束のようなやり取りに元音は再び気持ちを躍らせる。胸のときめきが収まるどころか爆発しそうになっている元音は彼との会話を記憶の中にしっかり埋め込みながら大きく頷いていた。  そうすると久土和はいつものように太陽のような眩しい笑みをこちらに向け「終礼終わったら教室で待っててくれな」と優しい声で言ってくれるのだ。意中の王子様からこのような言葉を貰えるだなんて、自分の今日の行動力に感謝だ。  そのまま元音は久土和と約束を交わし終えると、直後すぐに鳴った予鈴の音で急いで自席へ戻って行った。
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