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「いやぁ〜、けどほんと無事で良かった!」
「あ、あのぉ…ありがとうございました…」
「いやいや!お礼なんてっ!」
「って、あんた…あの時の…っ!?」
「あはっ!?バレちゃったぁ?佑人とは仕事仲間なんだぁ。だからなんでもないからね?大和さんも、ね?」
「あぁ、自己紹介が遅れました。俺は佑人の幼なじみでビジネスパートナーの霧島大和。このやかましい男は藤巻保。よろしく!」
「あ、はい…俺は、その…佑人の彼氏?彼女…?」
「どっちでもいいよ!それよりこれからも仲良くね!」
「…てかそれあんたが言う!?」
雪月とマキが何か揉めてたけど、じゃれあってるようにしか見えなくて、そのまま気にせず窓際に視線を向けて、はぁ…とため息をついた。
「佑人…いつ気がついたの?よく分かったね?」
「あぁ…犯人とあいつの会話が聞こえてさ…それで…お前は?何か知ってるっぽかったけど…」
「佑人から電話来た時にさ、ちょうど資料が届いて…その後にマキが色々とね」
「そうだったのか。来てくれてありがとう…俺一人じゃ無理だった…」
「困った時はいつでも呼んでくれて構わないよ」
「ふふっ、大和ってさ…?俺のこと好きなの?」
「嫌だなぁ…何言ってんだよ今更…」
「ははっ、だよな…」
「好きに決まってんじゃん…」
「は…? 」
「俺は生まれた時からずっと佑人が好きだよ」
大和のトンデモ発言にどうしていいか分からず、勢いで起き上がりそこにあったペットボトルの水を一気に喉に流し込むと、変なところに入ってむせて苦しくて嗚咽で吐きそうになる始末…
「…っ、ゴホゴホッッ…おぇっ…」
「わっ、まだ飲んじゃダメって!大丈夫!?」
「大丈夫じゃねぇよっ…バカ大和っ…」
「ふふっ…」
そんな大和の気持ち…
知らなかったわけじゃないけど、改めて言葉にされると照れくさくて複雑で…
そして、むせたせいで傷が痛む。
なのに当の本人はそんな俺の気持ちをからかうように、俺の背中を擦りながら笑いを堪えニヤニヤしている…
「どうした?大丈夫?佑人」
「佑人…!?」
さっきまでじゃれあってた雪月とマキが俺の異変に気が付いたのか、こちらの会話に入ってきた。
「…っ、いってぇ…」
「あんま無理しないで、さっさと寝な?」
「そうだなっ、早く寝た方がいい…笑」
マキは絶対俺の事心配なんてしてないし、大和はさっきからずっと笑いをこらえてるのに、雪月だけは泣きそうな顔して本当に可愛い…
だから雪月に免じて、今日のところは許してやるけど…っ。
「くっ…そ、大和…っ…覚えとけよっ…」
「ちゃんと覚えとくよ。さてマキ、帰ろっか?」
「うん、じゃまたね、佑人」
「おう。雪月は?まだいるだろ?」
「あぁ、うん…」
そして二人が部屋から出て行ってほっと一息つくと、やっと二人きりの時間が訪れた。
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