リベンジ

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リベンジ

「…っ、なんでお前が雪月を狙う…」 「ははっ…もう一度見たかったからだよ…あの怯えた顔…。真っ赤に染った真白な手…あれ?よく見たら君も可愛い顔してるね?一回死んでみない?」 男がニタリと笑うとものすごい力で俺の手首を掴まれ、刃物が男の顔から照準が外れ俺の手から抜け落ちると、逆に男が俺に馬乗りになり首を両手で掴まれた。 勢いに任せたらダメだってあの時学んだはずなのに、また同じことを繰り返して雪月を救えないのか…? 俺は出しうる限りの力でそいつの手を引き剥がそうとするが、馬鹿力過ぎて本当にヤバい…っ このままだと殺られる… 「佑人ぉっっ…!!」 「う"…っ、…っ」 「もっと苦しめっ…泣けっ…」 苦しい…っ 空気が取り込めず締め付けられる首が痛い… 奴の手を引き剥がそうとする俺の手にももう力が入らなくて、閉じかけた瞼から生理的な涙がこぼれ視界が暗くなっていく… 雪月…ごめ…っ 「佑人っっ!!!」 やま…と…? 一瞬奴の手の力が弱まった隙を見て、一先ず奴から抜け出し息を整えた。 そして怯んだ犯人を、大和とマキが取り押さえてくれて何とか難を逃れた。 「はぁ…っ、はぁっ、最悪…っ」 「佑人ぉ…っ」 「ごめんなっ…雪月、最近調子悪ぃんだよ…」 転がり落ちた刃物を拾い、雪月の元に駆け寄り束縛された手首のロープを切って解放してやると、大和とマキに取り押さえられても尚暴れてる犯人に近づき、俺は刃物を振り上げた。 「佑人っっ!!」 「だめっ、佑人っ!」 大和とマキが大声を上げて止めに入ったが、俺の怒りは増してくばかりで一向におさまらない。 「うるせぇよ…俺こいつマジで許せねぇんだわ…」 「やめてっ、佑人っ!」 雪月の声で俺は仕方なく刃物を離し、がら空きのそいつの腹に一発重いのを食らわせると、そいつもブチ切れたのか大和とマキを振り払い、殴りかかってきたからそれを避けてもう1発お見舞してやり、最後に回し蹴りで後頭部を蹴り飛ばした。 そして倒れ込んだ奴の胸ぐらを掴み、拳が痛くなるまで殴り続けた。 「はぁ…っ、はぁ…っ、オラッ、立てよ…っ!」 「もうやめとけっ…」 「これ以上やったら佑人まで捕まっちゃうよっ!」 大和とマキの声に仕方なく掴んだ胸ぐらを離したその隙を狙って、奴が性懲りも無く落ちた刃物を拾い上げ、俺に向かってきた。 気付いてはいたけど避けるまでには間に合わなくて、既の所で咄嗟にそいつの腕を受け止めたが、刃物が若干腹にめり込んだ… 「う…っ、…ざけんなクソっ…」 「佑人っ!!」 大和とマキがやつを再び拘束して、俺は刃を奪い投げ捨て、その場に倒れ込んだ。 「佑人ぉ…っ」 「…っ、雪月…ごめ…またしくった…」 「ゆぅとぉ…っ」 雪月は涙声で俺の名前を呼び、赤く染った俺の手を震えながら両手で包み込んだ。 恐らく傷は大したことないだろうとは思うが、ジワジワと腹の当たりが暖かい… 暴れるヤツを二人が押さえつけ、俺は雪月に寄りかかりながら待つこと数分、やっと警察が来てヤツはまた連行されて行った。 「佑人、大丈夫か?」 「はぁ…っ、多分…」 「や、これ…結構いってるんじゃない?」 「ゆぅとぉ…っ」 「大丈夫だって…大したことねぇよ…っ」 そして遅れて数分後… 俺は救急車に乗せられ搬送されたが、そっからの記憶はない。 ただずっと…雪月の手の温もりだけが残っていた。
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