45人が本棚に入れています
本棚に追加
傷害事件の真相
5年前、あれは俺らが引き請けたストーカー被害に関するものだった。
可愛らしい男の子が相談に来て、変な男に付け回されてて警察は何かないと動いてくれない、だから俺らにしか頼れないと泣きながら守って欲しいと訴えてきたのだ。
それからというもの来る日も来る日もその子の護衛をするものの、これでは埒が明かないと何かがないと動かない警察を動かすために身の安全の保証を理由に、その日は泳がせることにしたんだ。
そして、彼から少し離れた所から尾行していたその時、思った通りストーカーは行動に出た。
すぐ様俺は証拠写真を撮り、佑人が奴が手を出しそうになった所を止めるタイミングを見計らっていたまさにその時、その現場に居合わせた男の子が俺らより先に止めに入ったんだ。
慌てて俺らもその場に駆けつけ、まずは被害者の子をそっから引き離しほっとしたのもつかの間、ストーカーはターゲットを止めに入った男の子に瞬時に切り替えたのだ。
そして逆上したストーカー男はポケットからナイフを取り出して、逃げ出そうとしたその男の子の腰にナイフを突き刺した。
まさか、佑人の彼氏があの時の…!?
その時、携帯の着信が鳴り響き、ディスプレイに映る【佑人】の表示に慌てて受信をスライドさせた。
「もしもし大和っ」
(佑人っ、あの彼…っ)
「今から送る場所に来てくれ…!今すぐ!」
(…っ、何かあったのか!?)
「話は後だっ!今すぐ来い…っ!」
それだけ言うと電話は切れて、すぐ様メッセージが送られてきた。
「佑人から?」
「うん、今すぐここに来いって…ただ事じゃなさそうだ」
「ん…?ここ、彼のバイト先の近くじゃん!確か今はもう使われてないビルだね」
「なぁマキ、ちなみにその時の犯人て…」
「あぁ、一ヶ月前くらいに出てきてる…」
「一歩遅かったか…急ごうっ!」
「えっ!?俺も!?」
「早くしろっ」
「んもぉ、ほんと人使い荒いんだから…」
確か…俺の記憶が正しければ、奴はただの気持ち悪いだけのストーカーじゃなかったはず。
佑人一人じゃ絶対に敵わない…
俺はマキを連れて急いでその場所に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!