0人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
少年はそんな話を聞きながらも、その森へと近づいた。
身体はボロボロで足取りはふらふら。
やっとこさ森の中へ入って行っても、気付いた時には地面に倒れて野垂れ死ぬ寸前だった。
そんな少年を噂の魔女が見つけて拾う。
彼女は長い髪に黒いドレスを身に纏った如何にも不気味な黒い魔女で、少年を胸に抱えて自身の住まう家に運んだ。
森に佇む小さな家。
庭には薬草が生い茂り、家畜が歩き回る。
魔女は少年を自身の寝床で寝かせ、幼い頭を撫でた。
後日、少年が漸く目を覚ますと魔女は少年にご飯を用意してくれた。
温かいスープに柔らかいパン。
魔女の料理とは到底おもえない無い、ごく普通の食事に少年はなりふり構わずかぶりつく。
それはホントに普通の味だった。
泣きたくなる様な優しい味の。
魔女はそれから毎日の様に少年を看病した。
身体を清め、食事を用意し、まるで母親の様に接してくれる。
少年は噂の魔女に初めは怖がっていたものの、魔女は思った異常に優しくて、何故あの様な噂が流れたのか不思議なくらいだった。
少年の身体が徐々に回復してくると、魔女は少年に森を出る道を教えてくれた。
しかし、少年は森を出るどころか魔女と一緒に住みたいと申し出た。
少年には帰る家が無かった。
ある日、暮らしていた家を追い出されてからずっと独りで街を彷徨っていたという。
その話を聞いた魔女は、二つ返事で少年を受け入れた。
それから二人は魔女の家で暮らす様になった。
最初のコメントを投稿しよう!