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魔女と青年は突然やって来た兵士達により、城へと連れて行かれた。
魔女は青年を誘拐した罪で牢屋へと追いやられ、青年は王座へと担ぎ上げられた。
青年は王の御子息だった。
跡継ぎ問題に巻き込まれ、勝手で追い出されたのだ。
しかし王が亡き後、王直々の家臣が必死に青年を探して連れ戻させた。
青年は、牢屋に閉じ込められた魔女を解放して欲しいと頼んだが、願いは聞き入れて貰えなかった。
それどころか、青年を誘拐したと悪い噂が広がり、魔女は処刑される事が決まっていた。
青年はなんとか魔女を助けようと、あらゆる魔法で応戦した。
精霊を呼び出し、城の者達を出し抜いて、何とか魔女の牢屋へと辿り着く。
しかし、魔女は牢屋から出ようとしなかった。
魔女は青年の身を案じていたからだ。
そして魔女は、自ら望んで処刑台に上がった。
藁で周りを覆われた十字架に張り付けられた魔女は、最期に青年へ魔法を掛けた。
「貴方は全てを忘れて生きなさい」
青年は、火が放たれ燃える魔女に一筋の涙を流したが、すぐに何故自分が泣いているのか分からなくなった。
魔女はそんな青年を目に焼きつけながら微笑むと、燃える炎に飲まれていった。
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