長い夢を見ている

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*  引っ越しの業者さんがやってくると、荷物があっという間に梱包されていき、私のモノも段ボールに収められていった。  業者さんが荷物を持ち出すときに私がいても邪魔になるだけだということで私は、父が借りてきたレンタカーの中で、ゲームをしていた。これも父が買ってくれたものだ。空調がきいてるし、ペットボトルの水もあるし、快適だ。  ゲームって一日中していられるから好きだ。誰にも邪魔されない時間が好きだ。  業者さんたちのトラックがアパートの前から出発するのが見えた。いつのまにか外はオレンジ色の陽射しになっていた。  いつのまにか夕暮れらしい。  そういえば、ずっと車の中だったから背中や腰が少し痛い。スマホを見ると2時間ぐらい経っていた。  あっと言う間に2時間——、いつのまにか外が夕暮れや夜になってるのも好きだ。  あー、今日も一日集中できてたって思えるから。  パパがやってきた。四十を超えてもスラッとした体型を維持していて、私個人の目にはかっこよく見える。 「いい子で待ってたか?」 「何それ。幼稚園児じゃないんだよ」 「そうか。凪咲(なぎさ)はもう大きくなったもんなぁ」  その言い方が子供扱いのような気もするのだけど。私、もう十二歳なんですけど。
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