長い夢を見ている

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 パパと私は引っ越すことになった。  パパは、そのための休みも取ってきたらしい。  私はパパが何の仕事をしているのかよく知らない。何屋さんなんだろう? と思うことはあるけれど、なんとなく聞いてみたことはなかった。  昼間、家にいないのだから昼の仕事なんだろう、ぐらいにしか思っていなかった。  この小さな家にはパパと私しか住んでいなかった。  ママはいない。私が物心つくまえに亡くなってしまったそうで、ママがいないことが私の人生では当たり前のことだった。  パパは、私に何でも与えてくれる。  シュークリーム、パソコン、服、算数の問題集、ヘアゴム、どんなモノでも私に与えてくれる。  その代わり、パパが私に与えた条件はたった一つ。 『勝手に僕の前からいなくならないこと』  パパにとって私が唯一の宝物なんだと言う。それはすごく嬉しいことだ。  私もパパがいないと生きていくことができない、だから、私はこの約束を守りながら毎日を過ごしてきた。  だからパパが引っ越すというなら、私もついていく。
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