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引き寄せられたもの
翌日、渉と一緒にアルバムを開いた。
写真に写っていたのは、小学五年生の和人。
その隣にいるのが妹の美律子。
病がちだったのに、瞳には力強い輝きがあり愛らしかった。
写真の中の兄妹を見て、渉は呆然と呟いた。
「この子がみっちゃん……。じゃあ、昨夜見た女の子はみっちゃんじゃない」
なんと、渉にくっついていた霊はミツではなかったらしい。まったく知らない女の子だった。
「なんで俺のところに来たんだろ」
渉は首をかしげる。
「それはほら、人も霊も同じようなものだから。心細くて。渉ちゃんと仲良くしたくて寄ってきたんじゃないかねえ」
そう言った阿津子さんの瞳は、思い出の中の娘との対面に、少しだけうるんでいた。
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