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藤沢薫の説得
俺は平凡な人生を送っていた。会社でコツコツ働いて、二十九才で結婚した。物静かで優しい妻が俺みたいな奴とよく結婚してくれたと思う。俺としては出来すぎている感があった。
しかし俺は刺激が欲しかった。人生には刺激が必要だ。そう思っている時に、怪訝な顔をした妻から一通の手紙を渡された。黒塗りの背景色に白い文字が浮かんでいた。差出人は不明。手紙には『騙し合いゲームへの招待券』と書かれていた。
「何かのいたずらかしら?」
「でも俺の名前と君の名前が書かれていて、二人を招待すると書かれている。一人だけ参加はできなくて二人で行かないといけないみたいだ。なんだか面白そうだな」
妻は明らかに不審物だと思っているような視線を向けている。俺は妻にゲームに参加してくれるように説得した。最終的にゲームが行われる日が俺の誕生日だから願いを聞いて欲しいという言葉が決め手になった。
優勝賞金は一億円。胡散臭い話に思えるが刺激に満ちていそうだ。俺達は手紙に書かれてある山荘へと向かった。
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