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「あの野郎っ、何処に隠れてやがるんだ!?」
俺は部屋の灯りを点けて辺りを見回した。
寝室だ。この寝室が一番怪しい。
なんたって、俺の寝込みを襲ったんだからな。
この、歌舞伎町NO1と言われている俺様の顔に傷を付けるなんて、なんて事してくれたんだ。
これじゃ暫く仕事に、いや、外にも出られねぇじゃねーか。
隣近所でも『イケメン』と噂されている俺が、こんなツラじゃ恥ずかしくて誰にも会えねー。
商売あがったりどころか、当分は隠遁生活だ。
まぁ、今は幸いデリバリーも、感染症が流行ったお陰で、ネット決済で置き配指定しとけば、配達の兄ちゃんとも顔を合わさずに済むが。
「ちっ」
舌打ちし乍ら俺は天井や壁、家具の裏やベッドの下まで、隈なく探した。
まさか布団の中に隠れてるんじゃと、布団を剥いで見てみたが、奴の姿は無い。
なんて隠れるのが上手いんだ。
まさか寝室から出て、リビングにでも身を潜めてやがるのか?
寝室のドアが少し開いているのを見て、俺はズカズカとリビングへと続く短い廊下を大股に歩いた。
”寝る前にトイレに行った時にでも、うっかりドアを閉め忘れたんだろうか?俺とした事が”
歩き乍ら、トイレやウォークインクローゼットの扉をチェックする。
大丈夫だ。閉まってる。
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