真実に近づくのは……

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「元瀬日菜美さんのお父さん……でらっしゃいますよね? わたしは興信所の者です」  と言って名刺を差し出す。 「実は、日菜美さんから母親をさがしてほしいという依頼を受けまして……」 「えっ?」  名刺を受け取った父親は、目をぱちくりさせた。 「その件で、お話をうかがってもよろしいでしょうか……」 「興信所?」  名刺と三条、交互に視線を移しながら、明らかに動揺していた。まさか、という顔である。玄関ドアから首を突き出し、周囲を確認すると、 「ちょっ……ちょっと入ってください……」  興信所……探偵が家庭の問題に乗り出してきたとなれば平常心ではいられないのも無理はない。近所の手前もあるだろう。 「おじゃまします」  それを察して、三条も家のなかへ入った。  賃貸のアパートは、玄関を入るといきなりリビングダイニングだった。十帖ほどの部屋に四人がけのテーブルが置かれていた。 「どうぞそこへかけてください」  三条は言われたとおりに椅子に腰をおろした。正面に座る父親。
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