10人が本棚に入れています
本棚に追加
それから数年がたった。雄伸十七歳のときである。
ほそぼそとした親戚づきあいで璃乃とはときどきいっしょに遊ぶ仲となっていたが、それも中学までで、高校に進学していた雄伸にとっては璃乃は徐々に遠い存在になっていた。
ギターを始め、仲間とともにバンド活動にのめり込んだ。本格的にライブハウスで演奏を目指すという熱の入れようだった。
そんなとき、璃乃が行方不明になった。家出をするような兆候もなく、忽然と姿を消した。
十三歳になっていた璃乃は行動範囲が広くなっていて、近所をさがしても見つかるとは思えず、ここはもう警察にまかせるしかないだろうと、雄伸は思った。それにせっかく決まった、バンド仲間とライブハウスで演奏する日が近く、練習する毎日であった。
数日たっても璃乃は依然として見つからず、気にしつつもライブ当日になった。
何組かのアマチュアバンドとともに出番をこなし、それなりに満足感を味わったその夜、打ち上げに行こうとしてライブハウスを出ようとしたときだった――雄伸は璃乃とばったり再会した。
最初のコメントを投稿しよう!