4人が本棚に入れています
本棚に追加
異界ふしぎ発見!
夜の闇を走る、誰もいない静かな電車の車両内……ただ一人座席に腰掛けたオカルトハンター竹内巨江が口を開く。
「気のせいかも知れませんがよろしいですか? 先程から某私鉄に乗車しているのですが様子がおかしいのです……すべては、そんな書き込みから始まりました」
真っ暗な車窓の外を覗う竹内を映し出しながら、今度は男性のナレーションが入る。
「2004年1月8日の深夜23時18分、掲示板〝2ちゃんねる〟の〝身のまわりで変なことが起こったら実況するスレ26〟に、〝はすみ〟と名乗る人物がそんな書き込みを行った…… 普段、通勤に使っているその電車、いつもは5分から7、8分で次の駅に停車するはずなのだが、すでに20分は走り続けているというのだ」
「この書き込みに2ちゃんねらー達はすぐさま反応。でも、最初は乗り間違えの可能性や、特急や快速に乗ったのでは? と、あまり深刻には受け止めていませんでした」
ナレーションの言葉を受け、振り返った竹内が再び口を開く。
「ところが、続くはすみの投稿を見ていく内に2ちゃんねらー達は俄かに騒然とし始める……」
「はすみさんの他に5人くらいの乗客がいましたが、彼女以外は全員寝ていました。また、車掌室や運転席はブラインドが下りていて中が見えません」
またもナレーションを引き継ぎ、立ち上がった竹内がブラインドのしまった運転席の窓を視聴者に見せつける
「そして、いつもは通らないはずのトンネルを抜けるとようやく速度が落ちはじめ、ついに列車はあの駅に停車します」
映像の中でも電車が停車し、開いたドアからホームへと降り立った竹内は、そこにある駅名の書かれた看板へと歩み寄る……そこには「きさらぎ駅」と記されている。
「そう! きさらぎ駅です! 今夜は異界駅系都市伝説の金字塔、〝きさらぎ駅〟についてお送りしまーす!」
他には誰もいない、閑散とした真っ暗な駅のホーム。カメラ目線でそう竹内が宣言すると、チャラララ、チャラララ、チャラララ、チャラララララ〜…と馴染みのBGMが流れ、画面がスタジオへと切り替わる……とともに。
「異界ふしぎ発見!」
と、タイトルがデカデカと画面に映し出された。
最初のコメントを投稿しよう!