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「しばらく後、はすみさんから不穏な書き込みがありました……先程よりどんどん山の方に向かっています。とても車を置いておく場所があるとは思えないのですが。全然話してくれなくなってしまいました……」
「ヤバイ、110番しろ! この書き込みに2ちゅんねらー達は俄かに慌て出す」
車の助手席に座り、はすみになりきって書き込みを読み上げる竹内と、2ちゃんねらー達の反応を再現するナレーション。
「もうバッテリーがピンチです。様子が変なので隙を見て逃げようと思っています。先程から訳のわからない独り言を呟きはじめました。いざという時の為に、一応これで最後の書き込みにします……午前3時44分。この書き込みを最後に、再びはすみさんがスレに現れることはありませんでした」
竹内のその言葉とともに画面は徐々に暗くなってフェードアウトする……が、次に画面が切り替わると、そこは夜でも明るい、賑やかな街の駅前通りだ。
「ところが、それから7年後の2011年6月30日、怖い話を投稿するサイト〝奇譚blog〟に、はすみさんを名乗る人物が再び登場します。彼女の話によると、あの最後の書き込みの後……」
竹内が回想するかの如く、また場面は真っ暗な深夜の景色に。
「乗せてくれた運転手の男は暗い森の中で車を停めました。すると、森の向こうに何やら光が!」
画面でも暗い森の中に眩い光が煌々と輝いている。
「男の独り言はよくわからなかったのですが、さらに車の右の方から別の男が歩いて来て、はすみさんは恐怖を覚えます……と、その瞬間!」
竹内の言葉を合図に、画面は眩しい光に包まれ、強い衝撃に彼女の乗った車も揺れる。
「ふと見れば、運転手の男は消えています」
「なんでここにいる! ここにいてはダメだ!今の運転手は消した、今のうちに逃げるんだ! …と、右から現れた男はひどく慌てた様子ではすみを車から降ろす」
竹内に続き、謎の男を演じるナレーションの声が入る。
「光の方へ歩け! と、男に言われ、何がなんだかわからないまま、はすみさんは泣きながら走りました」
そう言いながら竹内も走り、強い白光の中へと彼女の姿は消えてゆく……と、また画面が切り替わり、先程の賑やかな駅前の場所に。
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